開倫塾塾長の林明夫が様々な場所で,考えたことや発表させて頂いたことを一週間分まとめて,毎週月曜日に皆様に報告するページです。
Posted by No Name Ninja - 2011.06.04,Sat
Q:「練習は不可能を可能にする」とは何ですか。
A:(林明夫。以下略)慶應義塾の塾長をつとめられた小泉信三先生が、テニスをはじめスポーツをすけいおうぎじゆくこいずみしんぞうることで得られる、身につくものの1 つとして教えて下さったものです。
小泉先生は、スポーツをすることで3 つの大切なものが得られるとして、その3 つを「3 つの宝」と名付けられました。
Q:スポーツをやることで得られる「3 つの宝」とは何ですか。
A:(1)1 つは、今御紹介した「練習は不可能を可能にする」という考えです。
(2)今、このドッジボール合宿にお集まりのドッジボール選手の皆様も、ドッジボールを習いたてのころはあまり上手にドッジボールをすることができなかったと思います。
(3)しかし、コーチや監督の先生、先輩やお友達に教えていただきながら練習を積み重ねるあいだに、少しずつドッジボールが身につき、今日のようにドッジボールの試合や合宿ができるまでになったのだと思います。
(4)はじめはドッジボールのことが何もわからなかったのに、いろいろな方の指導のおかげで練
習を積み重ねることによって、試合に出場するまでになる。
はじめは不可能であったことが、練習によって可能になる。
これを知り、身につけることがスポーツの素晴らしさです。
(5)このことを、この「練習は不可能を可能にする」ということばは教えてくれます。
Q:3 つの宝」の2 つ目は何ですか。
A:(1)スポーツをすることで得られる、身につくものの2 つ目の宝は、「フェアプレイ」だと小泉信三先生は教えて下さいました。
(2)どのようなスポーツにもしてよいこととしてはいけないこと、ルールがあります。
(3)いやしいプレイをしてはいけない、ルールに反したプレイをしてはいけない。正々堂々胸を
張ってプレイをする、ルールをよく守ってプレイをすることが、どんなスポーツでも大事です。
(4)学校生活や、家庭や社会で生活するときも同じで、やってよいことよくないことは何か、学校や家庭、社会のルールをよく知り、「フェアプレイ」の考えでものごとを行うことが大事です。
(5)この「フェアプレイ」の考えが身につくのがスポーツであることを、小泉信三先生は教えて下さいました。
Q:「3 つの宝」の3 つ目は何ですか。
A:(1)「よき友」です。
(2)私は中学生のときに柔道を習ったのですが、監督の椎名弘先生から「練習で泣いて試合で笑え」と教えられ、厳しく鍛えられました。
(3)そのおかげで少しずつ柔道が身についていきましたが、それは厳しい練習でした。
(4)ただ、厳しく感じていたのは私だけでなく、いっしょに練習をした私の友達も同じく厳しく感じていたようです。
(5)厳しい監督の指導のもとで、力を合わせて練習をし、試合に出掛け、泣いたり笑ったりしているうちに、少しずつ皆仲良くなり友達になりました。
(6)これは、ドッジボールをしている皆様も同じだと思います。
(7)これが、スポーツをして得られる「3 つの宝」の3 番目の「よき友」の意味だと私は思います。
皆様はどうお考えですか。
Q:スポーツで得られるこの「3 つの宝」は、勉強にもあてはまるのですか。
A:(1)はい、3 つともあてはまると思います。
テストをやっているときは、人の答案を見るカンニングをしてはいけないなど、
テストのきまり、ルール通りにやらなければいけないので、「フェアプレイ」は勉強にもあてはまります。
(2)いっしょに勉強をしているとお友達もできますので、「よき友」も勉強にあてはまります。
(3)「練習は不可能を可能にする」は、勉強に一番あてはまるかもしれません。
Q:「練習は不可能を可能にする」は、どう勉強にあてはまるのですか。少し詳しく説明して下さい。
A:(1)勉強するときに一番大切なのは、先生の授業を聞いたり、本を自分で読んだりして「うんなるほど」「これはこういうことなのか」と「よくわかる」ことです。
これを「理解」といいます。
(2)一度「うんなるほど」と「よくわかった」あと、つまり「理解」したあと、次に大切なのは、それを身につけることです。
一度「うんなるほど」と「理解」したことを身につけることを、「定着」といいます。
(3)この「身につける」(「定着」)のときに大事なのが、3 つの練習です。
Q:えっ、勉強にも「3 つの練習」があるのですか。
A:はい。私は一度「うんなるほど」と「理解」したことを身につけるための練習に「定着のための三大練習」(3 つの大きな練習)と名付けました。
Q:「定着のための三大練習」とは何ですか。1 つ1 つ説明して下さい。
A:(1)1 つは「音読練習」です。
(2)「音読」とは、一度「うんなるほど」とよく「理解」した教科書やノート、プリントや参考書を大きな声を出してよく読むことです。
(3)何回も何十回も声を出して読む「音読練習」をして、今まで勉強したことを「スミからスミまで一語のこらず覚えてしまい、何も見ないでスラスラ口をついて言えるまでにする」。
これが大事です。
(4)そのためには、「声を出して読む練習」、「音読練習」は役に立ちます「練習は不可能を可能にする」のです。
Q 2つ目の練習は何ですか。
A (1)「書き取り練習」です。
(2)「音読練習」をして、教科書に書いてあることなどが「何も見ないでスラスラ言えるようになった」ら、それを紙に書いてみる。
書いてみて、正確に書けない「ことば」があったら、正確に書けるようになるまで、何回も何回も書く練習をする。
(3)これが「書き取り練習」です。
Q 3つ目の練習は何ですか。
A (1)「計算・問題練習」です。
(2)教科書や問題集に出ている計算や問題の答えが、なぜそのような答えになったのか「うんなるほど」とよく「理解」できたら、次にどうしたらよいのか。
例えば、5 + 8 = 13、7 × 8 = 56
などは、なぜ5 に8 をたすと13 になるのか、なぜ7 に8 をかけると56 になるのかと「うんなるほど」とよく「理解」できたらどうするか。
(3)計算や問題を見た瞬間にパッ、パッ、パッと正しい答えが出るようになるまで、何回も何十回も練習をすることです。これを「計算・問題練習」といいます。
Q そうですか。
A (1)はい。このように、一度「うんなるほど」と「理解」したものを自分のものとして身につける、「定着」させるには、3 つの大切な練習、つまり「定着のための三大練習」があります。
(2)この「定着のための3大練習」を熱心に行えば行うほど、勉強がよく身につきます。
学校のテストでどんな科目でもよい点数、100 点が取れるようになります。
(3)「練習は不可能を可能にする」。このことばは、勉強にもあてはまります。
Q 最後に一言どうぞ。
A 学力の高い人、成績のよい人は次のような人です。
(1)よく本や新聞を読む人
①学校の教科書に出ていたり先生が紹介して下さったような本をじっくりゆっくり読むと、思慮深さが身につきます。
読んでいて「いいな」と思った文はノートに書き抜いて、何回も読み返して自分のものにしましょう。
②新聞は毎日必ず読みましょう。新聞を毎日じっくり読むと、世の中のことがよくわかってきます。
自分で考える力が身につきます。ことばの数がどんどん増えます。
③本や新聞を読んでいてわからない「ことば」があったら、必ず「辞書」を引きましょう。辞書で調べたことは必ず「ノート」に「メモ」をし、その「ノート」はいつも1 ページ目から「音読練習」と「書き取り練習」をしましょう。
④ 1 日に10 個、新しい「ことば」を辞書で調べ、コツコツと「音読練習」と「書き取り練習」を繰り返して身につければ、1 年は365 日ですから、1 年間で365 × 10 = 3650、3 年間で1 万以上の「ことば」が身につきます。
小さな積み重ねは大切な力となります。
「練習は不可能を可能にします」
(2)学力の高い人は勉強の仕方をよく身につけています。
①学校で先生の授業をよく聞き、「うんなるほど」とよく「理解」することに全力を傾けています。
②わからない「ことば」はどんどん辞書を引いて調べ、調べたことをノートにメモし、よく読み、よく書き、身につける努力をします。
③授業中、大切なことはよくノートを取ります。
取ったノートを何回も何回もよく読み、よく書き、身につける努力をします。
④授業が終わったあと、一度「うんなるほど」とよく「理解」したことを繰り返し声を出して読み、書く練習、計算や問題練習をします。
スミからスミまでよく身につけてしまいます。
(3)「練習は不可能を可能にする」
このことばは、ドッジボールはじめスポーツにも、勉強にもあてはまります。
スポーツに勉強にがんばって下さいね。
お話をお聴きいただき感謝します。
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